堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
とくにウィーンのお祖母さまが気に入ってくれているらしく、先日電話で話した際も『ショーンに早く会いたいわ』と、ひ孫の誕生を今か今かと楽しみにしてくれていた。
でも、ひと足先に、日本にいる家族に翔音をお披露目だ。
「ほら翔音、おじちゃんだぞ~! 会社から、お祝いのおもちゃいっぱいもらったからな~」
出産翌日、午前中からさっそくお見舞いに来てくれた母と兄が、壁がガラス張りになっている新生児室を覗いた。兄の目尻はだらしなく下がり、かわいい甥っ子に釘付けになっている。
「お腹とか、傷の痛みは平気?」
「うん。トイレはやっぱりちょっと怖いけど……思っていたほどではないかな」
「あとは退院前の抜糸に耐えないとね」
「それ、言わないで~! かなり恐怖感じてるんだから」
出産を二度経験している母とそんな会話をしていると、母が不意に、ガラス越しの翔音を見つめながら呟く。
「ありがとうね、瑠璃」
「えっ? どうしたの改まって」
「私ね……本当は、もうひとり子どもが欲しかったのよ。だけど、事故でお父さんは死んじゃったし、自分はこんな体になっちゃうしで、その夢はあきらめざるを得なかった。だけど、瑠璃のおかげで、もう一度赤ちゃんを抱っこできるんだもの」