堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「お疲れさまです、世良さん」
とりあえず立ち上がり、ぺこりと頭を下げて挨拶する。
「旅行で疲れてるところ、わざわざ来たのか。土産くらい出勤の時でもいいのに」
一瞬そっけなく聞こえるけれど、世良さんにはそんな自覚はないだろう。言葉通り、私の旅行疲れを心配してくれているのだ。そんな、わかりにくい彼の優しさに気づき始めたのは、つい最近のこと。
「家にいても結局暇を持て余してしまうので、来ちゃいました。世良さんには、これです」
小さな紙袋を渡すと、中を覗いた世良さんがほんの少しだけ口角を上げた。
おや? もしかして、喜んでくれてらっしゃる……?
「スミレの砂糖漬け」
手のひらと同じくらいの大きさの丸い缶を取り出し、世良さんが言い当てた。
「はい。世良さんはやっぱりご存知でしたか。パティシエの世良さんなら、素敵なアレンジをして食べてくれそうだなって思ったので」
「……そこまで考えて選んでくれたのか」
意外そうに呟いた彼に、私は微笑んで頷く。