堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
本当の意味で優しく甘やかしたいのは、愛しい女性だけ。……そう考えただけで、タブレット画面を見つめる視界がぼやけ、そこに瑠璃の姿が浮かぶ。
……どうやら恋煩いは重症だ。開き直って、今しばらくは彼女の面影に悩まされよう。
「押尾。会談が終わったら、どこかウィーン菓子の売っている洋菓子店に寄ってくれ」
本来甘いものを進んで食べる俺ではないが、瑠璃との思い出の詰まったザッハートルテが恋しかった。
あの濃厚なチョコレートケーキを口にすれば、彼女と過ごした幸せの時間を追体験できるのではないか。そんなふうに思ったのだ。
「かしこまりました。まったく、今頃どこにいるんでしょうね。うちの副社長をここまで悩ませる瑠璃さんって方は」
それは俺が一番知りたいよ。押尾の言葉に、胸の内だけでそう返した。
霞が関の庁舎で俺を迎えたのは、省内で地震や台風などの災害対策を担当する部署に所属している春名友里恵。長い髪をきつめのポニーテールにし、体にぴったりフィットしたパンツスーツを身につけた姿はスタイリッシュで潔い印象を与えている。