堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 実は友里恵とは同い年で、若い頃ウィーンの建築事務所でともに建築を学んだ旧知の仲でもある。友里恵は建築士として数年働いた後、中途採用で国家公務員になったという異色の経歴の持ち主なのだ。

 そんな彼女とともに推し進めているのが、災害対策に向けたインフラ整備。

 耐震性の高い設備・施設の建築、また巨大な台風にも耐えうる河川の堤防の建設などを京極建設が中心となって任されていて、今現在も日本各地で、京極建設独自の工法やノウハウを駆使し、社員たちは人々の安全な生活を守ろうと努力している。

 その進行状況の報告、そして今後の計画や予算について意見のすり合わせを終えた後、友里恵が軽い雑談を振ってきた。

「ねえ志門。私、一カ月前にウィーンに行ったのよ」
「へえ、それは奇遇だな。俺もちょうどひと月ほど前に行ってきた。祖父母の煩わしいお節介に付き合うためにね」

 ため息混じりにそう話すと、テーブルの上で書類をまとめていた友里恵の手が止まった。

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