愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
ショップでは、お正月が明けて、冬物バーゲンがスタートしている。その後に投入される春夏物は、着々と工場で生産中だ。


今の私達は、来季の秋冬物のデザインの最終仕上げ段階。


「今度こそ、玲に四の五の言わせないようにしないと。由夏、よろしくね。」


このところ、本社の井上バイヤーと丁々発止、やり合っている陽菜さんはそんなことを言っている。


「はい。」


私はショップ経験が長く、お客様視点に立った、井上さんからの厳しい意見は、謙虚に受け止めているけど、陽菜さんはやはり自分のデザインには、自信を持っているから、なかなか素直には聞けないみたい。


この二人の場合、同期であることがマイナスに作用してしまってるような気がしてならないのだが、こればかりは私にはどうすることも出来ないしな。


仕事初めから、ちょっとすると成人の日を絡めた3連休がやって来る。仙台でトレーニングに励んでいた聡志が、この連休中、立て続けに行われる高校、大学の野球部のOB会出席の為、一旦帰って来た。


「年に1度しか会えない連中や、なかなか会うチャンスのない大先輩と会える、貴重な機会だからな。どっちのOB会も、大事にしたいと思ってる。」


と言っていた聡志は、いろんな叱咤激励を受けながらも、楽しい時間を過ごしたみたい。


そして、2日間の日程が終わった聡志は、その足で仙台に戻って行った。今回は私が土曜日出勤とかがあって、会えず終い。でも翌週末に、私が仙台に行く予定にしている。本格的に仕事が忙しくなる前に、聡志の新居も見に行きたいしね。


『まだ完全には片付いてねぇんだよ。』


「どうせ、そんなことだろうと思ってるから大丈夫。片付け、手伝ってあげるよ。」


『すまねぇな、せっかく来てもらうのに。』


「聡志に手が焼けるのは、別に今に始まった話じゃないし。」


大学で寮生活をしたお陰で、洗濯機くらいは自分で回せるようになったみたいだけど、一人息子で甘やかされて来たから、聡志の家事能力は、はなはだ心もとない。


一人暮らしで、食事なんかどうするんだろうと、聡志のお母さんも心配しているから、その様子も見たいと思っている。
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