クールイケメン店員からの電話
初秋のある日の夜、社会人一年目の相沢理央が自宅のソファで寛いでいると、スマホに見知らぬ番号から着信があった。
訝しく思いながらも、固定電話の番号だったため、とりあえず電話に出てみると、『GREEN』というスニーカーショップからで、その人は「羽山」と名乗った。
『GREEN』は小さな店舗の割に品ぞろえが良く、地元のスニーカー通がよく行く店だ。
そう、店は知っている。
だが、なぜ自分にその店から電話がかかってくるのか、理央には皆目見当がつかなかった。
「この前、友達と一緒にうちの店に来てくれたよね? その時に喋ったんだけど、覚えてる?」
確かに先日、友達の麻衣子がスニーカーを買いたいと言うので、一緒に『GREEN』へ行った。
その時、接客してくれたのは、“あの人”だ。
(そっか。“あの人”、羽山さんっていう名前なのか)
「覚えてますけど・・・・どうやって私の番号を?」
「一緒に来てた子に訊いた」
「えっ?」
麻衣子は欲しかったスニーカーのサイズが無かったため、取り寄せすることになり、連絡用として店に携帯番号を伝えていた。おそらくそこから連絡をとったんだろう。
しかし、見た目とは違って意外とお堅い麻衣子が、理央に承諾も得ずに携帯番号を軽々しく他人に教えるとは思えなかった。
(何か事情があったのかもしれない。 今度、麻衣子に訊いてみよう)