転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
鋭い眼差しを向けつつ注意するのは、“魔法薬学科”の教師であり、国家魔法薬師であるアルノルト・ローデンヴァルト先生である。彼は猛毒を作った罰として、魔法学校の教師を一年間務めることとなったのだ。

ローデンヴァルト先生の顔立ちは整っているものの、青白い肌に目つきが悪いので、物語にでてくる悪役みたいな妙な迫力があるのだ。

教師向きの見た目と性格ではない。しかし意外にも面倒見がいい。野外料理が得意なのか、ちょこちょこ料理の腕をふるってくれる。それが、おいしいのなんのって。私だけでなく、ニコラやフロレンツィアもしっかり胃を掴まれていた。

そんなローデンヴァルト先生は物置から農具を用意してくれていた。畑を耕す平鍬(ひらくわ)を手渡そうとする。

「ちょっと待って。畝を、魔法で作ってみるから」

「そんなことができるのか?」

「見ていてください」 

 実は、家でちょこちょこ練習していたのだ。集中し、魔法を構成していく。

「――盛り上がれ、|大地よ(アース)!」

畑の中心に魔法陣が浮かび上がり、魔法が発動される。ボコボコと土が一列に盛り上がって、畝のようになった。
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