転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
私が手に取ったのは、“闇魔法使いの歴史”という本。特に気になった点を、読んで聞かせる。

「闇魔法は多くの魔力を使用する。そのため、闇魔法使いは消費した魔力を、魔物の血肉を食べて回復していた」

「ひ、ひえええ……」

「とんでもない人達でしたのね」

魔物食いは禁忌中の禁忌だ。人の何十倍もの魔力を持つ魔物を口にしたら、拒絶反応で死ぬ場合もある。それなのに、死することも厭わず魔物を食べていたとは……。

闇魔法使いが暗躍したのは、千年以上も前の大昔。当時は秩序というものがほとんどなく、その辺に歩いている人を誘拐して闇魔法の素材にしていたらしい。

そんな闇魔法使いは、ある失敗をしてしまう。誘拐してきた人物は、国王が溺愛する姫君だったらしい。お忍びで街歩きをしているところを、知らずに捉えたようだ。

姫の美しい髪を一本一本抜き、生きながら血を引き抜く。闇魔法を使うには、生きている素材が一番なのだとか。

残虐な方法で姫を殺したあと、闇魔法使いは騎士に捕まって公開処刑となる。

国王は嘆き、悲しんだ。そして、残酷非道な闇魔法すべてを禁術とし、国内にいたすべての闇魔法使いを捉えた。

悪しき思想に染まり、人を手に掛けた者は処刑。それ以外の闇魔法使いは終身刑を言い渡す。

それ以降の時代で、闇魔法使いが歴史上に現れることはなかった――。
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