俺様天然男子
あたし、とんでもない人と付き合ってた…。



でも、理音くんは理音くん。



普通の男の子だもん。



「あとね、言おうかずっと迷ってたんだけど…」

「うん?」

「俺、ネットで歌を投稿してて…。ひとりで歌ってるんだ。あっ、顔は出してないよ?」

「ネットで歌⁉︎自分のチャンネルとか?それとも、アプリとか…?」



『リトルヘブンって名前で…』



えっ、ヤバっ…。



あの日、紗雪に聞かせられてからたまに見ていた動画。



すっかりファンになったあたし。



『騒がれるだけある歌唱力』の彼。



ネット上では『本家よりうまい』と言われている、謎のリトルヘブンさん。



「冗談…」

「じゃ、ないんだよね。次…今日かな?アニソン投稿する予定」

「うっそ…。あの声、理音くんなの…?」

「うん、内緒にしててごめん」

「いや、大丈夫…。びっくりした…だけです…」



声で、歌で。



女の子をメロメロにしている正体不明の男の子は、どうやらあたしの彼氏らしい。



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