メーティスの牙

「フフッ。くすぐったい」

フニャリとした笑顔を玲奈は見せる。透はコーヒーを作る手を止め、その笑顔に魅入ってしまった。



それから五日後。この日は日曜日で透と玲奈は、ジェニファーとマイケルと共に出かけることとなった。

アメリカに来たものの、玲奈はジェニファーの家に引きこもってばかりだったので、透は出かけられることにわくわくしている。やはり、観光はしたい。

「さあ、着いた！ここがヘンリードーリー動物園よ！」

車に揺られ透たちガやって来たのは、世界の動物園ランキングでも一位と言われるほど大人気の動物園だ。

「わあ！動物園！！」

マイケルははしゃぎ、その様子に透も微笑む。玲奈も動物が好きなのでいつもより表情が緩くなっている。

「あっ！マイケル、足元に落ちた袋をかけておいてくれない？」

ジェニファーがそう言い、「わかった！」とマイケルは足元の袋を取ろうとする。しかし、一向に袋が掴めないようで、「どうしたの？」と透は声をかけた。マイケルは不思議そうな顔をしている。