猫になんてなれないけれど
「まあ、まだ美桜の両親に挨拶すら終わってないし・・・今後のことは、これからゆっくり考えるとして。とりあえず、1匹ずつにしとこうか。美桜がやきもち焼いてたら、猫も困ると思うから」

「・・・はい・・・」

多分、頬を真っ赤に染めながら、私はコクリと頷いた。

彼は笑って、覗き込むように私の頬に手を伸ばす。

細くて長い指先が、肌を滑って、顎先を軽くくすぐった。

「!」

首筋に、ゾクリと甘い刺激が走る。

この、身体の感覚は。彼の、この、仕草の意味は。

「・・・ふ、冨士原さん」

「ん・・・?」

「前にも、伝えましたけど・・・。こういうふうに、触れるのは」

「うん?」

「・・・だ、だからその・・・、猫扱いは、嫌だって」

「・・・・・・・・・そうだっけ?」

甘く笑いかけられて、真っ赤な頬が、ますます火照る感覚がした。

全てを見透かされたような気がして、私は、続きの言葉をうまく言えなくなってしまった。



私は猫じゃないけれど、彼は時々私のことを、猫みたいな気持ちにさせてしまうんだ。

それはきっと彼の手が、柔らかく、優しく私に触れるから。

その感覚は、そわそわとして落ち着かなくて、反抗したくもなるのだけれど。

最後は結局こうやって、私のココロを甘く溶かしてしまうんだ。



ーーーふいに空を見上げると、2羽の小鳥が羽を広げて飛んでいた。

ふっくらとした小さな雲が、風とともに、ゆっくりと空を流れてく。


猫みたいな、気持ちになっている時も。

そうはなれない時だって。


何気ない風景に溶けた日常を、これからは、こうして2人で紡いでく。

私たちにしか、描くことができない未来。

甘い気持ちで満たされて、穏やかな、幸せが溢れていく日々を。




☆   ☆   ☆   E N D   ☆   ☆   ☆


最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!!








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