猫になんてなれないけれど
もしくはデレデレ?想像をして、私はふふっと笑ってしまった。

「冨士原さん、おもしろいですね」

一人でカフェを訪れて、猫で癒やされているなんて。

実際、どんな風に癒やされてるのかは全くわからないけれど、「冨士原さんが」って想像すると、なんだかとてもおもしろい。

「面白い?・・・面白いことを話した覚えはありませんが」

横目でちょっと睨まれた。だけどなぜか、今日はやっぱり怖くない。

「おもしろいです。その・・・お笑い的なおもしろさとかではなくて。うまく言えないんですけど・・・あっ、相澤先生に言われたことはありませんか?」

「面白いって?・・・どうでしょう。覚えてないな」

「本当ですか。冨士原さんが猫カフェで癒やされるって話をしたら、絶対におもしろがってきそうなのに」

相澤先生のキャラならば。私が言うと、冨士原さんは、心底嫌そうな顔をした。

「まあ・・・そうですね。それはかなり予想がつくので。だからこそ、あいつには絶対言わないですよ。・・・というか、言わないでくださいね。絶対、面白がってからかいだすから」

聞けば、「実家に猫がいる」という情報は先生も知っているそうだけど、だからって特別猫が好きだとは、気づいてないとのことだった。


(そうなんだ・・・。まあ、冨士原さんが猫カフェに出入りしているなんて、ちょっと想像できないもんね)


また、無表情で猫じゃらしを揺らす冨士原さんが頭に浮かび、思わずふふっと笑ってしまった。

すると、「なんですか」と再び横目で睨まれた。

「あっ、すみません・・・。なんでもないです」

「・・・」

少し調子に乗ってしまった。反省しつつも、ちょっと楽しい気持ちになった。


(冨士原さん、やっぱり、実は結構おもしろいのかも)


婚活パーティのこともそうだけど、相澤先生も知らない秘密を、私はなぜか共有している。

それはとても、不思議な感じがするけれど。


(でも・・・嫌じゃないな)


一見するとクールだって思うけど、おもしろい人かもしれないって、正直興味がわいてきた。

もっと話してみたくなる。冨士原さんて、本当はどんな人なんだろう。

いつの間にか、私はとてもワクワクとして、これからの時間が楽しみな気持ちになっていた。







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