白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)
キャラメルの包み紙に
何か書いてある。
『ドS? ドM? どっち?』
それを見た瞬間
結愛さんとの思い出が
簡単に吹き飛ばされるように
笑いが込み上げてきた。
また俺の元に戻ってきた桃ちゃんに
キャラメルを突き出す。
「これ、どういうこと?」
「そのままの意味ですよ。
十環先輩って、ドSとドM
どっちなんですか?」
「だから、俺はSだって言ったでしょ」
「でもさっき
自分から辛い唐揚げを
食べていましたよね?」
ニコニコしながら
俺をいじってくる桃ちゃん。
そして
少し陰りを含んだ瞳を俺に向け
微笑んだ。
「この講堂での結愛さんとの思い出は
簡単には
塗り替えられそうにないですね。
でもちょっとは
結愛さん以外の思い出もできました?」
本当にかなわないな。
桃ちゃんには。
普通の女の子と全然違う。
悪魔みたいな瞳で
俺に辛い唐揚げを
食べさせようとしたのに
自分で食べたり。
いきなりステージに走って行って
メッセージ入りのキャラメルを
投げたり。
予測不可能な行動に
なぜか惹かれてしまう自分がいる。
でも、これは恋なんかじゃない。
桃ちゃんと一緒にいても
やっぱり俺が彼女にしたいと思えるのは
俺を癒してくれる結愛さんだけだから。
桃ちゃんに対して
たまに抱く好意的な感情。
それは俺が尊敬して止まない
『龍牙さんの妹』だからだと思う。
そんなことを考えていると、桃ちゃんが
俺にとびきりの笑顔を向けてきた。