同じ空の下~想い描いた2人の夢~
私が走ってる間、春馬先輩とマネージャーは楽しそうに話していた。

少し切ないような、寂しいような気はするけど…でも、そんなことは言っていられない。

甲子園、絶対行くって先輩に誓ったんだもん。お兄ちゃんにだって…

私は必死で練習に食らいついて行った。

私の走り込みを見た部員たちは

「…はやっ!何やねん」とか言っていた。

当たり前じゃない!私は走るのも得意だっつーの!

中学のときは、駅伝助っ人で出て脅威の10人ごぼう抜きした伝説がある。

短、中、長全てに置いて、足の早さには自信を持ってきた!

私はウォーミングアップのはずの走り込みから全力で走ってやった!

皆が走り終えると、マネージャーが水やタオルを配ってくれた。

私の分は、春馬先輩が用意してくれた。

「俺、これくらいしか出来ないけど…樹のために、マネージャーやるから、心配せずに練習打ち込んで」と声をかけてくれた。

それが凄く嬉しかった。

そっか…さっき春馬先輩がマネージャーと話してたのはその事だったのか…

私が練習に打ち込めるように…

複雑な気持ちあるだろうに…私のために?

そう思うと涙が出そうなくらい嬉しかった。

「何泣きそうな顔してんの?」と笑いながら言う春馬先輩。

私は涙堪えて必死で笑ってみた。

水分補給がてらの休憩中、

「…どう?うちの妹は…」と自慢げにお兄ちゃんは部員たちに聞いていた。

「3周も走って息切らしてないって中々ですよね!」と興奮気味に答える部員に

「当たり前だ!普段から樹は鍛えてんだよ!中学の時なんか、陸上部の助っ人で伝説作ったんだからな!」とお兄ちゃんは言う。

主将は気に入らないのか「ふん!」と言うだけだった。

「女がエースピッチャーなんて納得いかねぇ」と言う主将に

「やめとけよ~実力ちゃんと見てから言いなよー」と先生が声をかけた。

「休憩おわったら、皆に樹のボール受けてもらうからね!バッターボックスで。キャッチャー俺するから」ってお兄ちゃん!

ホントにお兄ちゃんには敵わない。

「本気で投げろよ?お前のボールなら、どんなボールでも俺、取れる自信あるし。いや、自信しかねぇーけど」とお兄ちゃんは言って笑う。

「言ったわね?取りにくいやつ投げてやる!」と私は言った。

私は早めに休憩を終えると、グローブを装着し、軽く肩を慣らした。

「さっ、トップバッター誰よ?」とお兄ちゃんが言うと、誰も反応しない。

凍りつくかのようにシーンとした。
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