同じ空の下~想い描いた2人の夢~
主将のバットは空を切る。

アッサリ三振を取られてしまった。

悔しそうな顔で戻ってくる主将。

ピッチャーが変わって流れが変わった。

そのあとも、全員三振を取られてしまった。

7表が始まった。

私は投げる気なんてさらさらない。

乃木くんも腹をくくったので、ウチは乃木くんの続投が決まっていた。

ピッチャーを替え、流れを引き寄せようとしている相手チームに乃木くんが選んだ球種はなんと…

す…ストレート?!

乃木くんの目は完全にいっている。

速い…スピードが格段に速くなっている。

えっ?今…7回なのに?このスピードが出るの?計測140は出てるけど…

てか、初めて見たな…乃木くんの本気…

まさかここに来て140のストレートかましてくるとは。

相手のバットは豪快な空振りとなり、三人で終わった。

嘘でしょ?!

そう思ったのはお兄ちゃんと春馬先輩、先生も同じだったらしく、スゴく驚いていた。

1番驚いてるのは、キャッチャーだろうけど。

「…あれは…もしかして幸哉と同じタイプかもしれん」とお兄ちゃんは言い出した。

幸哉さんはお兄ちゃんと同じチームで同期のピッチャーだ。

「闘志全快で努力するタイプに対してアイツは憑依型のタイプだ。誰が憑依してんのかはわかんねぇが…アイツは膨大な選手の中から合うやつをチョイスして憑依させる…極めて特殊なタイプだな。これは大事にしなくちゃいけん、逸材だぞ!」とお兄ちゃんは興奮気味に言った。

確かに憑依型…聞いたことはある。私には考えられなかったけど…ホントにいるんだ。

私は初めて憑依型タイプのピッチャーを生で見た。

「次打つのが楽しみだな…誰を憑依させるのか…果たしてヤツのボールをしっかり捉えられるのか…見物だな」とお兄ちゃんは言った。

「今まで普通だったのはそう言うことなの?憑依はかなり体力使うから最初からではなく後半に温存した?」と私が言うと、

「だろうな。打たれたくらいで魂が抜かれるようなヤツだ。憑依なんてチョロいんだろう…だが、記憶は無いぜ?多分」とお兄ちゃんは言う。

「ホントにそんなことがあるのか?」と先生が聞く。

「ありますよ。希に…」とお兄ちゃんは言う。

春馬先輩は何も言えなくなっていた。

「幸哉も憑依型なんだ。アイツはでもコントロールが聞かない…念じたら勝手に憑依されるタイプだが、乃木は違うな。選ばれし者だろうな。憑依するヤツを選んでるように見える」とお兄ちゃんは言う。

私と春馬先輩はじっと見つめた。

7回の相手の攻撃を0に抑えたメンバーたちが戻ってきた。
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