同じ空の下~想い描いた2人の夢~
次の回もきっちり0点で抑えた。

攻撃では点数を更に追加した。

皆の士気も高まって試合は好調に進んだ。

ラストの回を迎えた。最後の回は皆で気合いを入れ直して、守備に散った。

私の1球目、鋭角のスライダーで攻める。相手は空振った。

2球目、少し遊ばせたボールを投げみた。

バットには当たったがファールになった。

3球目、チェンジアップを投げた。

うっ、打たれた?!ヒットになってしまった。

ランナーを出した方が燃えるわ。

二人目、私はスクリューボールを投げてみた。コントロールが少しミリ単位でずれたけど、相手が振ってくれくれたので何とかなった。その後、カットボールにストレートを投げて相手をアウトに打ち取った。

アウト、後2つ!

私は自分を追い込んだ。が、そこからが長かった。

相手がかなり粘ってきた。

『なるほど。そういう作戦か』と私は冷静に分析した。

『粘るなぁ!相手』皆の心の声だ。

『アイツ、変わったな。笑ってやがる』お兄ちゃんの声が聞こえた気がした。

私はバットを振らせず、アウトを取った。

後ひとつ!私は口角を上げて笑った。

それを見たキャッチャーは気合いを引き締めて構えた。

ここで私が選択したボールは、フォーシームだ。

そして、バットは…空を切る…

試合終了。

最終結果は8対2で勝った。

終わった…私はその場に崩れる。

それは苦しいからじゃない、やっと解放されたと勝ったという嬉しさからだった。

皆が私のところに駆け寄って来てくれた。

「大丈夫?」と声をかけてくれる皆に対して、

「…樹ちゃーんお疲れさま!」と私を思い切り抱き締めてくれたキャッチャー。

「…先輩痛いですぅ~」と私が言うと、

「あー、ごめんね?」と先輩は言って離してくれた。

「うん?疲れて…とかじゃないんだな?」と主将が言った。

「違いますよ~嬉しくてです」と私が言うと、皆はホッとしたように、良かった~と言った。

「…この人、最後のボール投げるとき笑ってた~化けもんだよー」とキャッチャーが言って私を指差す。

「ちょっと!先輩ばらさないでくださいよー。恥ずかしいっ」と私が言うと皆は笑ってた。

相手チームのメンバーはそんな様子をポカーンとしてみていた。

私たちは、ベンチに戻った。

帰りのバスの中、主将は私に

「…樹、明日の試合、フルで投げてくれないか?」と言われた。

「…何でですか?俺投げれます」という乃木くん。

気持ちはわかるけど…

「投げれる訳無いだろう?そんな手で。明後日は幸い、中休みだから。明日は見守って明後日安静にしてたら完全に治るだろう?そしたらまた試合に出れる。後何試合残ってると思ってんだ?」と主将は言った。

「…てことで、樹少し負担かけるが頼む」と主将に言われた。

「もちろんです。きっちり潰しますよ」と私は不敵な笑みを浮かべた。

「頼もしいな」とキャッチャーは笑ってくれた。
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