同じ空の下~想い描いた2人の夢~
その声に私の体はビクッと反応した。

『相当緊張してるっぽいかな~?大丈夫かな?』と遠巻きに春馬先輩の声が聞こえた気がした。

キャッチャーは『落ち着いて』と指示してくれた。

体が震え、上手くボールを握りきれずにいた私に

「大丈夫!試合は今から始まる。なんぼでも調整、修正はきく!安心して投げな。俺らが全部キッチリ抑えてやる。信じなよ?俺らのこと」と主将は言いに来てくれた。

そして、颯爽と自分の守備位置に戻っていった。

私は頷き深呼吸し、ボールを握りしめた。そして、一球めを投げた。

ど真ん中のストレート。

スピードは130をマークした。

相手は様子を伺ったのか、振ってこなかった。

私はもう一度ストレートを投げた。

さすがの相手も次は見逃しということはなく、振ってきたがわずかに当たらない。

スピードが一球めより出ていた。

いきなり130後半になっていた。

相手はさすがにポカーンとしている。

そして私は気づいた。調子が悪いわけじゃないことを。

マウンドに上がり、投げ始めると、調子が整い始め、緊張も和らいでくる。

上がるまでが私の弱い所だ。

私は三球めをカットボールにしてみた。

相手のバットに当たり、走られてしまう。

さすがの俊足であっさり一塁を踏み、ヒットになった。

さすが。強豪校ここまで来るだけのことはあると私は感心しながらも口角をあげた。

二人め、私は深く考えずに投げてみた。

力み過ぎないことだけを念頭に置いて。

何とか空振り三振に打ち取った。

そこから私の調子は更に上がった。

ボルテージも上がり、初回からデッドヒート。

私は勢いにのり、一点も入れさせなかった。

そして、ウチらの攻撃が始まった。

やっぱり誰も打てない。

この回もあっさり0におわってしまった。

でも試合はまだ始まったばかり!

私はすぐに気持ちを切り替えてマウンドに上がる。

自信を持って投げたのに…

打たれた。しかも長打…ホームラン一歩手前だった。

その後、続けざまに打たれて得点が入ってしまった。

さすがの強豪!まだ序盤だと言うのに、もう既に私を攻略してきた。

まだ二回でこれ…。本気で潰しにかかってるわね。

まぁいい。私を女が投げるってバカにしたこと、後悔させてやるんだから!

二点は取られたものの、その後はキッチリ抑えた。

私は気持ちを切り替え、ボールを握り直した。

2対0で三回に入った。
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