同じ空の下~想い描いた2人の夢~
この回、ウチにもチャンスは生まれた。

ついに!1人塁に出たのだ。私たちは粘り強く、果敢に挑んでいった。

歯を食い縛り、皆が豪快なフルスイングを見せる。

当たれば長打になりそうなものばかりだ。

私は小さく祈りながら、『頑張って!皆』と応援した。

私の想いは、キッチリ実を結んだ。

ウチはチャンスをしっかりモノにし、得点した。

一点差となり、次の回へと持ち越された。

その後、両者とも譲ることない一点も入らないという状況が6回まで続いた。

そして、このタイミングでピッチャーを託されたのは乃木くん。

相手チームは分かりやすいほど動揺を見せた。

『えっ?このタイミングでピッチャー交代なの?』と言う顔をしているのが私には面白く見えてしまい、クスッと思わず笑ってしまった。

「頼んだぞぉ~乃木!」と主将に送り出され、マウンドに上がる乃木くん。

そして皆は守備に散っていく。

乃木くんは呼吸を整え、特に心配する様子も無く、あっさりボールを投げていた。

カットボール、ナックル、ツーシームなど。予選の最初に比べると随分球種も増え、安定して投げれていた。

スピードは出てるし、パワーもしっかりある。何より、三振が良く取れていた。

私も安心して見ていられた。

そして、ウチらの攻撃を迎える。七回表、

相手チームのピッチャーを封じにかかるように、初球から豪快に飛ばしていった。

そして、遂に!逆転に成功した。

3対2で裏が始まった。

安定した乃木くんのピッチングで、相手に追加点を入れさせることは無く、七回裏は終わった。そして、ウチの攻撃8回表を迎える。

ウチは完全にピッチャーを捉え、更に一点、二点と追加点を取った。

5対2となり、裏、相手の攻撃、守護神と言っても過言ではない、乃木くんが抜群の力を発揮し、この回も0で終わらせた。

迎える、最終回。

私たちは主将の一言で気合いを入れ直す。

相手のピッチャーはさすがに変わっている。

そして、見事にタイミングを外された。

なんとも言えず、あっさり、ツーアウト取られてしまった。

ここから先輩らは粘り、塁に出たものの、センターフライに打ち取られ、0点に終わらせられた。

「最後、思い切り楽しんで投げろよ?」と春馬先輩に声をかけられ、乃木くんは大きく頷いて、マウンドに向かう。

そして、皆も大きく頷いて守備へと散っていった。

私はそんな皆の背中をただ見守った。

いよいよ始まる本当のラストだ。
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