同じ空の下~想い描いた2人の夢~
乃木くんの一球め、随分攻めた鋭角のスライダーから入った。

ギリギリインコースのため、相手は思い切り振ってきた。

が、もちろん当たるはずなどない。ミリで相手は振り遅れている。

乃木くんの実力が発揮された良い球だ。私は嬉しくて思わず笑ってしまう。

乃木くん、良い顔してるなぁなんて思ってると、次はストレートをかましてきた。

掲示板の表記は142㎞と出ている。

力まず力を抜いて投げると意外にもスピードが出ていたことに驚いた。

あっさり、この回を三人で抑え込み、試合終了ー。

最終結果は5対2で勝った。

乃木くんは満足そうな顔をして戻ってきた。

「乃木くん!凄く良かったよ!お疲れさま」と私が声をかけると、

「先輩もお疲れさまでした」と乃木くんは声をかけてくれた。

帰りのバスの中、

「どうだった?投げる順番変えてみたけど…」と主将は聞いてきた。

「…私は抑え向きではない、どちらかと言うと、先発の方が合ってる気がしました」と私は正直に言った。

「…俺もです。俺抑えの方が好調な気がしました」と乃木くんが言った。

「やっぱりな。俺もそんな気がしたよ。見てて」と主将は言った。

「じゃあ。これからこのローテ決定ね!」と春馬先輩が言う。

「まあ、明日からは中継ぎでお前使うからな?」と主将は言う。

「…うん。わかってる」と春馬先輩は言った。

それ以降の会話は誰もされなかった。

学校につくまで凄く静かだった。

学校に着き、皆は解散していく。

1番に帰るのは主将で、皆は帰っていく。

残されるのはいつものメンバーだ。

「…乃木くん、お疲れさま。明日もよろしくね!」と私は声をかけた。

「はい!先輩もよろしくお願いいたします。じゃ、俺お先に失礼します」と乃木くん言っては去っていった。

気まずくも、春馬先輩と二人になってしまった。

「…送るけど、言いたいこと、聞きたいことは無いのか?」と春馬先輩が言う。

少し考えてた。聞きたいこと…?たくさんある。

「プライベートなことでも何でも良いぞ?」と私の気持ちを察したのか、春馬先輩は言ってきた。

私たちは歩き始めた。

「先輩は彼女いますか?」プライベートなことでもいいと言われたので、私は思わずそう聞いてしまった。

この質問、何回したのだろうと思いながら。


「…いないよ。言っただろ?甲子園終わるまでは野球に集中するって」と春馬先輩は言った。
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