同じ空の下~想い描いた2人の夢~
私に投げられた1球目、際どいラインギリギリのボールだった。

私は振らずに見送る。ピッチャーの顔が変わった気がした。

2球目、あきらかなボール球だった。

アイツ…フォアボールにして私を歩かせる気か?

そんな事、させない。

私のスイッチは入った。そして構え直す。

私は振っていった。もちろん、ファールになるわけだけども。

相手が嫌がるように私は何球も粘ってやった。

そろそろ…と私が気合いを入れたのは7球目、そして…私は思い切りふった。

カキーンと球場全体に響くぐらいの快音を響かせ、レフト方向に飛ばした。

飛距離はどんどん伸び、もう少しでスタンドに入るって思ったところで、ボールは落ちた。

しかし、かなりの長打となり、キャッチャーは一気に三塁まで走り、私も二塁まで走った。

まだ行ける!と私は判断したんだが、キャッチャーはホームには突っ込まなかった。

次のバッターは足も速いハマタツ。

私は大いに期待していた…が、ハマタツはヤツに完全につかまり、打たせて貰えず、三振に倒れた。

でもまだチャンスだ。アウトは1つ…ダブルプレー取られなければウチも点数は入れられる。

願った。信じた。バッターを。

快音が響く…見事なホームランだった。

キレイなアーチを描き、吸い込まれるようにしてレフトスタンドへと入った。

そしてウチはキレイに3点をモノにした。

その後もまだチャンスは続いた。

相手のピッチャーが乱投を始めた。

監督がなにかを言っている。これは…まさかのピッチャー交代か?

案の定そうなった。

ヤツを引きずりおろす形となった。

相手はサウスポー、左ピッチャーに変わっていた。

いきなり変わったピッチャーに押しきられる形で私たちの攻撃は終了した。

そして、私は7回めのマウンドに上がった。

体力は存分に残っていたが、ヤツがマウンドを降りたことで、気持ちの面で少し重い気持ちになっていた。

「アイツ大丈夫か?」とキャッチャーにぼやいているバッター。

「あ?舐めんなよ」とキャッチャーは言っていた。

私はそう聞こえた気がして思わず笑ってしまった。

そして、ボールを握り直した。

1球目、カットボールから入ってみた。

初球からふってきた。バットには当たるが、ファールになった。

私は笑った。わざと少しずらしたから。

相手の勝ちたいという意欲がひしひし伝わってくる。

闘志を燃やし、剥き出しにくるバッター。

そんなんじゃ打てないよ?もっと肩の力抜かないと!

なんて想いながら、私は140後半のストレートを投げた。

もちろん、打てるはずもなく、見逃しのストライク。

次に選んだ球は…スクリューボールだ。

バットに当ててきた。

なるほど。私は次に選んだボールは、チェンジアップだ。

相手は外した。思い切り振り損ねてる。

私のチェンジアップも130は出る中々の球だ。

1ミリ、いや、0.数秒ずれただけで打ち損ねる充分のスピードはあると思っている。

私は口角を上げた。計算通りに振ってくれていたので。

けど、問題は次の相手だ。チェンジしたばかりのピッチャーから始まる。

私のなかに、その人のデータが無いのだ。

けど、ここはデータにこだわらないのが私だ。

どんなヤツにでも全力で行くのが、私。

私はとりあえず、本気で仕留めにかかった。



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