同じ空の下~想い描いた2人の夢~
次のバッターにはチェンジアップを投げていた。

また打たれてしまった。そして、ヒットになり走らせてしまうことになった。

けど、打たれても、春馬先輩の顔を変わることはなく、乱れている様子も無く、安定していた。

私ならこういう時、乱れている気がするので、それをしない春馬先輩は凄いと改めて思った。

が、相手も流石に食らいついてきた。

そして…遂に一点返されてしまった。

これ以上、点数を入れられる訳にはいかない…

私なら、こんな時、何を考えるんだろうそう思いながら、春馬先輩を信じて見守った。

春馬先輩の背負う球の重さは皆にしっかり伝わっている。

皆はしっかり取って処理をする。

そして…迎えるバッターに投げた春馬先輩の球は…綺麗にミットに収まった。

バッターは豪快に振り損ね、アウトになった。

何とか一点は返されたものの、この回、一点に抑えて、皆は戻ってきた。

私はそんな春馬先輩に「お疲れ様です~」と声をかけた。

抱きつきたい衝動を抑えて。

「後は頼んだ。乃木、すまんな。一点返されてしまった」と春馬先輩が言うと、

「なに言ってるんですか!めっちゃかっこ良かったですよ!俺がキッチリ締めますよ!」と口角を上げて乃木くんは笑った。

「…先輩!見ててくださいね!」と私に言う乃木くん。

「もちろんよ!信じてるわ」と私は返した。

「俺らもしっかり頑張るからさ。だから憑依でもなんでも良いから思い切り暴れてくれ。なんとしても取るぞ!」と主将が言う。

頷く乃木くん。

皆も「しゃー!」と力を入れた。

『ピッチャー交代のお知らせをします。ピッチャー、一ノ瀬くんに代わりまして、乃木くん』とアナウンスがあり、

乃木くんは一礼をして、マウンドに向かう。そして皆も守備位置へと散っていく。

最後の回が始まった。

覚醒というより、完全憑依している乃木くんの動きは少しだけおかしい。

右ピッチャーなのに左で投げようとしたりしている。

「あーあ、完全憑依ヤバイね~大丈夫か?」と春馬先輩は言う。


「…左ピッチャー憑依させてない?」と私。

「…いくら憑依でもそれは流石に無理じゃね?」と春馬先輩は言う。

そこでタイムが取られた。そして、キャッチャーが乃木くんのもとに行った。

「…大丈夫か?そんなに気を背負わなくていい。俺ら皆ついてるんだから!俺を信じろよ?しかし、憑依させるのが左ピッチャーはちょいマズイだろう。それで行くなら、樹ちゃんからグローブ借りてこいよ?」とキャッチャーは言った。

そして、乃木くんが頷いたので、キャッチャーはポジションに戻る。

乃木くんは大きく深呼吸して、ボールを握った。

どうやら憑依が決まったようだった。
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