同じ空の下~想い描いた2人の夢~
私たちは乃木くんを見守った。

ナックルから始めた乃木くん。相手は豪快に空振る。

どうやら相手バッターはナックルが苦手かもしれない。

チェンジアップや、フォーク等キレの鋭いボールを投げている。

1人を抑えた次のバッターをフォアボールで歩かせてしまった。

が、さすがの乃木くん。もう動揺なんてしていなかった。

フォアボールくらい大したことないんだろう。

三人目のバッターに投げたスライダーは打ち上げられてフライ。

そして…いよいよアウト後1つとなった。

独特の呼吸法で深呼吸した乃木くんはボールを握り直した。

相手をアッサリ追い込んだ乃木くんは、終らせるための封じ手として1番得意としているボール、ストレートを投げた。

スピードも申し分無く、ラインもギリギリの際どいラインで相手は見逃した。

相手はボールだと思って、ふらなかったんだろうが、それをふらなかったがゆえにウチの勝ちは決まった。

審判はアウトを叫んだ。

試合終了、見事な勝利だった。

皆は嬉しそうにそして晴々しそうに堂々と戻ってきた。

「お疲れさまでした!」と私は皆を称える。

「…春馬もお疲れさま。どうだった?久々の試合は…」と主将が聞く。

「一点は取られてしまいましたけど、まずまずの出来だったと思う。球の精度をあげないと、次の相手には確実に潰されるなと思った」と春馬先輩は言った。

「そうか。確かに精度かもな。スピードは申し分無く出てたしな」と主将は言う。

「…俺、次の憑依は左ピッチャー憑依させてみていいですか?」と乃木くんは言い出した。

「…あ?左?お前左も投げられるのか?」と主将が言う。

「はい。投げてみたいので戻ったら先輩付き合ってくれます?」と言ってきた。

「もちろんよ!でも、グローブ右用でしょう?」と私が言うと、

「それが問題なんですよね~」と乃木くんは言う。

「…なら、樹ちゃん貸してあげてよ?明日だもん。調整くらいしたいだろうし、俺が受けるのはやるしね?」とキャッチャーが言う。

私は頷いた。

そうな話をしながら試合場を後にした。

無事学校に着いた私たちは、解散する人もいたが、主将、キャッチャー、春馬先輩、私、乃木くんは残り練習を始めた。

左投げの乃木くんは中々の好投だった。

スピードも右には劣るものの出ている。

スクリューボールや、ナックル、フォーク、チェンジアップ等、様々な球種が投げられていた。

左ピッチャーとしても申し分無いだろうと私は思った。

それは主将やその他皆が感じたことで、皆も手応えを感じているようだった。

それもそのはず。乃木くんは小学生の頃は左ピッチャーだったらしい。中学生になって右に矯正したらしい。

しばらく練習を終え、「ありがとうございました」と乃木くんは言って私にグローブを返して帰っていった。

そんな乃木くんを私たちは見送り、

再度練習を再開した。

というのも、今度は私の調整のためだ。

私もしばらく投げ込み、何となく大丈夫そうな気がした。

そして、最後に春馬先輩の調整が始まった。

春馬先輩は何球か投げ込み練習を終えた。

あまり練習しすぎると、肩を痛める可能性があるので、控えめに終わらした。

そして、皆はそれぞれ退散し、私と春馬先輩は並んで歩きながら帰る。

試合の話を中心に色んなことを話した。

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