同じ空の下~想い描いた2人の夢~
「…乃木くん、左も行けそうだったね?」と春馬先輩は言う。

「そうですね。乃木くん、昔は左ピッチャーだったらしいですよ。やっぱりいい筋してるわね」と私が言うと、

「…そっか。だからか。普通に憑依したぐらいじゃ普通は投げられないだろうしな」と春馬先輩は言う。

私は頷いた。

「…いつから知ってた?」と春馬先輩は言う。

「…私も、聞いたのは最近でした。中学生から矯正で右投げになったと言っていたけど、そんな簡単に投げれるようになるものなのかしら?」と私が言うと。

「…特殊だろうけど、憑依型だから頑張れば行けるんじゃねぇ?運動神経良さそうやし」と春馬先輩は言った。

私なんてどんなに努力しても左ピッチャーとしてしか極められなかったのに、乃木くんは違うってこと?

「…もしかしたら、ケガして変えたのかもよ?」と春馬先輩は言う。

確かにごく稀にそれが出来る人はいる。

小学生なら治りが早くて、余裕だったのかもしれないけど。

にしても、左ピッチャー憑依させたいから左で練習したいって中々クレイジーなことするわね。

後2回で甲子園だって言うのにこのタイミング?

もしかしてあんまり投げれないから温存してたとか…?

私は深く考え過ぎていたのだろう。眉間にシワを寄せていたらしく、

「樹、可愛い顔が台無しだよ?」と春馬先輩に顔を下から覗き込まれ、怯んだ。

「えっ?」と私が言うと、

「…そろそろアイツのこと考えるの辞めない?」と笑顔で言ってくる。

ズルい。そんな顔されたら…大好きが溢れちゃう。

そして、私は無意識に『大好き』と言っていた。

春馬先輩は嬉しそうに笑う。

そして私たちは家まで歩いた。

家に着き、春馬先輩とバイバイして家の中に入ると、お兄ちゃんとお母さんが迎えてくれる。

私は手を洗って食卓に着いた。

そして、乃木くんの話をしながらご飯を食べた。

もちろん、春馬先輩の今日の試合とかの話もしながら。

「樹はホントに野球好きね~」とお母さんは笑っている。

「まあ、プロになるんだし、これからは母さんも少し楽なるね?」とお兄ちゃんは言った。

「ホントね。そしたらお父さんと一緒にたくさん旅行したりしよう」とお母さんは楽しそうに笑った。

私も笑う。

お父さんはまだ帰ってないけど。

私は着替えて外に出た。お兄ちゃんと一緒に走り込むために。

「…大丈夫か?」とお兄ちゃんが聞いてくる。

「…うん?なんで?」と私が言うと、

「考え事?少し様子がおかしかったから」とお兄ちゃんが言う。

「お兄ちゃんには何でもわかるのね」と私は言った。
< 48 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop