同じ空の下~想い描いた2人の夢~
「…聞いてくれてありがとうございます。俺の夢、いつかプロで先輩と戦うことです!その為に今回はきっちり爪痕残そうって決めてます」と乃木くんは笑った。

「そうね!ありがとう。絶対頑張ろうね!」と私は言った。

「…話は終ったし、そろそろ帰ろうか?」とお兄ちゃんは言って伝票を持って立ち上がった。

財布持ってきて無かったと思ったけどどう会計するのか?と思ってみてたら、どうやらスマホで決算したらしい。

私とお兄ちゃんと乃木くんは店を後にし、それぞれ走り込みながら家へと帰った。

「…なんか…聞いてよかったのかな?」とお兄ちゃんは言った。

「うん。私も思った。よかったのかなって。けど、覚悟決めて話してくれたのよね?私を信頼してるから…」と私が言うと、

「そうだな。幸い、皆無事だったんだ。それがきっかけでアイツも覚醒した…もうアイツにとって過去なんだよ。過去は変えられないんだ。今生きてることに感謝して笑って生きてられるなら、それで良いんじゃないか?アイツは両方で投げられるという武器と憑依するという2つの武器を手に入れたんだから」とお兄ちゃんは笑った。

私もそうねと笑った。

翌日、乃木くんは昨日ことなんて何も無かったように、ナチュラルに私に話しかけてきた。

「…いいか、お前ら、俺らの夢まで後少しなんだ!気を引き締めて行くぞ?」と主将は言って私たちは元気にはい!と返事した。

そして、バスに乗り込み、会場へと向かった。

乃木くんは私の横に座ると周りに聞こえないくらいの声で、『昨日のこと、2人の秘密ですからね!』と囁いた。

私は頷いた。皆が私たちの方を見るけど、私たちは笑い合うだけで何も言わなかった。

春馬先輩は複雑そうに苦笑していた。

けど、今だけはその事に気づかないフリをする。

だって、今はそっちに気を取られてはいけないと思うから。

好きな気持ちは溢れてくるけど、皆の夢のために、助っ人として頑張ることを誓った私にそんなことを考えてる余裕なんて無かった。

そんなことを考えながら、窓の外を見ていると、会場に着いた。

私たちは準備を整え、一礼し、グラウンドに上がった。

先攻だった。主将の作戦で打順が少し入れ替わっていた。

これが良い方向に転べば良いけど…

このタイミングでこの打順変更は果たして正しい選択かと少し不安になっていた。が、流石主将の見立てだ。

好調らしい。初っぱなからガンガンバットにも当てて行くし、振っていく。 闘志剥き出しで相手に威圧感を与えていた。

根性と気合いは相手に負けないらしい。というか、相手のピッチャーヒビってない?

ちょっと乱投気味よ?まだ始まったばかりなのに…

ウチはというと、その乱投のおかげで初っぱなからアッサリ点を取ってしまう。

皆の目が怖い。闘志剥き出しレベルではい。

異常なまでのオーラに圧、気合いの入り方は桁違い…

確かにこれは怯むかもしれない。

けど、私は冷静に分析を始める。いつものように…

相手の球の流れ、スピード、角度をしっかり見極める。

『多分肩の調子があまり良くない。無理してる』ってとこね!

私の見立てでは。

でも、かなり無理させてる気がするんだけどなぁ~ふと私は主将の方を見る。

「あのピッチャー大丈夫なのか?初っぱなからあんなんで…このままじゃ潰れるぞ?」と主将は言う。

流石、主将。すぐに気づくのね!

「可哀想だけど、彼のために引きずりおろしてやる方が良いんじゃない?」と私は言う。

「…だな」と主将は納得してくれた。

そして、この回、 3得点を入れた。

その事により相手はさらに乱れている。

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