同じ空の下~想い描いた2人の夢~
ウチの攻撃が始まる。

相手のピッチャーが良すぎるのか、ウチは打っても全部打ち取られ、惨敗だった。

この回も得点を入れることは出来なかった。

皆は前を向いてるが、春馬先輩は少し肩を落としていた。

「…アイツら、急にギア入れてきたな?春馬を引きずり降ろす気かも知れんぞ!踏ん張れ、春馬… それともガチで体キツイのか?」と主将は言った。

「…確かに違和感ありました。あんなもんじゃないはずのアイツらが手を抜いてる気がして。多分…樹と戦いたいんだと思います」と春馬先輩は言った。

「…えっ?全然気づけなかった…」本心から漏れてしまった私の声。

「気づけなかったのかよ?いくら大好きな春馬が投げてるからって…ちゃんと見とけ!って言ったのに!」と主将に言われて、

「…春馬先輩の状態はちゃんと見てましたよ?」と私が言うと、

「そんな事、いってんじゃねぇ。お前のその洞察力で作戦考えてくれてるだろ!いつも。俺らは試合してんだからお前は客観的に俺らを見てるべきだろう?」と主将は言う。

私は返す言葉が見つからず、うつむいた。

ボソボソ小さく、ごめんなさいと言った。

「で、どうするよ?おりるにしてもまだ早いよな?」と主将は言った。

「…まだ三回です。三点くらいすぐ取り返しますよ!でもどーしてもダメなら、早めでも自分変わりますから!」と励ますかのように、乃木君は言う。

「まだやれるか?春馬…」と主将。

「俺のために、投げてくれないか?樹…って言ったら、投げてくれるか?」と春馬先輩は言ってきた。

皆が私の顔を見た。

「…今日は投げるつもり無かったんですけど…」と私は言う。

あまりにも長いため、グラウンドや、観覧席がざわついている。

「ほら、早く決断しろ!」と急かしてくる春馬先輩。

どーしたらいいんだろ…

そんな春馬先輩に頼まれて投げれません!なんて言えないけど。

でも…ホントにそれで良いのかな?

私は思い切り困ってしまった。

「本気で樹とやりたくて、春馬を引きずり降りそうとしてるのか?」と主将

「…少なくとも俺はそう感じました」と春馬先輩、

「…樹…どうしたい?」と主将は聞いてくる。

ずるい。そんなの。私は何も言えない。

「…俺じゃダメなんですか?先輩の有志もっと見たいですよ!もう少し先輩耐えられませんか?」と乃木は言ってくれた。

私は乃木くんの想いに大きく頷き、賛同した。

「…わかった…もう少し…頑張る!」と春馬先輩は納得してくれた。

「うっし、けどホントに体がキツイなら言えよ?ケガ上がりのお前にムリはさせたくないから」と主将は言った。

そして皆は守備に散った。

『何だよ~続投かよ~』と向こうからヤジが聞こえる。

春馬先輩は深呼吸をしながらマウンドに向かった。

私は想いを出来るだけ込めて、「頑張って!先輩」と送り出した。
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