同じ空の下~想い描いた2人の夢~
4回が始まった。

気持ちは切り替えてるはずなのに、少し力が入ってるみたいでコントロールが定まっていない。

それでも必死に投げる春馬先輩、それに負けじと周りも奮闘し、完璧な守備を見せた。

この回、何とか0でしのいだ。

4回裏、うちらの攻撃、さすがに一点は欲しいが。

私は祈るように見守った。

この回が踏ん張りどころだ。

春馬先輩ならまだ次の回も投げられそうだし。

次しのげば、乃木くんにチェンジしてもらっていい、私はそう思ってた。

みんなの活躍もあり、点差を縮めた。

とりあえず一点を手にした。

まだまだ終わらない。ウチの本気見せてやる!

去年までとは全く違う新生のウチを。

一点を取ったことをかわきりに、ペースは完全にうちらのものとなり、あんなに苦戦してたはずのピッチャー相手に、ヒットをかましまくった。

気づけば点数は振り出し、同点になっていた。

そして、ついに逆転した。

4対3となり、この回は終わった。

そして迎えた5回が始まる。

完全覚醒の春馬先輩の本気に私もドキッとしてしまう

相手は豪快に空振るし、フライなどでツーアウト、アウト後1つというところで、打たれてしまった。

けど、動じなかった春馬先輩はきっちり抑え、0点でこの回を終えた。

この回のウチの攻撃が始まった。

点数は中々入らなかったがチャンスを迎えた。1アウト1、2塁。

迎えるバッターは春馬先輩!

けど春馬先輩はバッターボックスには立たず私の方に来た。

そして、「…樹…代わってくれないか?」と言ってきた。

「えっ?私今日は出る予定無かったんですけど…もしかして身体キツイんですか?」と私が言うと、

「…少しな。そろそろ限界かもしれん。この後は乃木に頼む…。だからさ、代打、樹出てくれ。今引けば、甲子園でも投げられると思うから」と春馬先輩に言われた私は、

先生や先輩、皆の顔を私は見た。

そしたら皆は頷いてくれた。そしてメンバーチェンジを伝えてくれた。

『代打、藤堂さん』と私の名前がコールされた。

私は一礼し、バッターボックスに向かった。

春馬先輩のバットを借りて。

私はバッターボックスに立つと独特のフォームで構えた。

周りから『えっ?あの子が代打?』なんて声が聞こえるが私は気にしない。

バットに全神経を集中させ、初球から振っていった。

鋭角のスライダーからだった。

相手が得意とする決め球だろう。

スピードもかなりある。さすが怪物と言われるだけあるパワー系ピッチャー。

けど、私もここで引き下がれない。

皆の夢と想いがこのバットにこもってる。

春馬先輩の想いも。

私はちゃんと見極めてボールは見逃した。

甘く入ったカーブを私はチャンス!と捉え、豪快にバットを振った。

快音が会場全体に響き渡り、私は場外ホームランをぶちかましてやった。

そして、三点追加し、点差をさらに広げた。

私がベンチに戻ると皆は笑顔で、春馬先輩は私の頭をポンポンしてくれた。

この回はこれで終わってしまった。

が、リード出来たことには変わらない。

私は少しでも貢献出来たならと嬉しかった。

そして回は六回になった。

マウンドに向かう乃木くんに、私は「楽しんできてね!」とだけ言った。

乃木くんは笑顔で「行ってきます!」と私に敬礼してマウンドに向かっていく。




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