同じ空の下~想い描いた2人の夢~
2人でしばらく歩いてると、前から、2人組の男子が歩いてきた。

「…あの~」と声をかけられて、私は思わず身構えた。

春馬先輩は私の肩を優しくトントンとした。

『大丈夫!俺がついてる』というような目で私を見てくれた。

が、次の瞬間、私は違う意味で言葉を失った。

「藤堂樹さんですよね?俺ら、大ファンなんです~こんなところで会えるなんて…」と興奮気味に、

「本物~。俺ら、特集で藤堂さんのこと知って…会いたかったんですよね~」ともう1人の人が言ってくれた。

私と春馬先輩は顔を見合わせた。

「…負けないでくださいね!俺ら、藤堂さんと当たるの楽しみにしてるんで!」と1人が、

もう1人は

「…クズみたいな発言してくる人もたくさんいると思いますけど…そいつらに何も言わせられないくらい、藤堂さんの実力、証明してやりましょ!」と言った。

私は笑って、「ありがとうございます」と返した。

「あの~握手とかして貰ってもいいですか?」と言われたので、

私は彼らとしっかり握手をした。

私を応援してくれる選手が他県にいたことにホッとした。

嫌味を言われたりしたけど、私を応援してくれる選手がいたことが嬉しくて言葉が出てこなかった。

そして、二人は満足そうに去っていった。

そんな2人の背中を私たちは見送った。

「ほらな、お前にもファンがいる。わかるやつはちゃんとお前見てるんだよ!だから、気にすんな!頑張ろうな」と春馬先輩に言われて、私は大きく頷いた。

その後、2人が観客席でも騒いでたらしいことを後から知ることになった。

私たちは準備のため、ベンチに向かっていた。

皆でベンチで話したりしながら心身の調整を行った。

そして、私はトイレに行くため、席をたった。

「アイツもやっぱり緊張してんのか?」なんて声が聞こえて、

「あー、あれは、試合始まったら中々トイレに行けないから行けるときに行っときたいらしいよ」と春馬先輩がフォローしてくれていた。

私がトイレを済ませて、手を洗っていると、観客の女性たちに囲まれてしまった。

「藤堂樹さんですよね?」と皆は騒いでわーキャー言っている。

ほんとなら私も出来る限りの対応はしてあげたいんだけど…

なんせ、今は時間があまりない…

私は愛想笑いをしながら、相手を不快にさせないように心がけた。

そして、当たり障りなく、会話を早めに切り上げる。

「…最高の試合にして見せますので、楽しみにしていてください」と私は笑かけ、失礼しますと、トイレを出た。

早足で私は戻った。

「やっぱり絡まれたか?遅かったな」と主将に言われて、

「ハイ。けど頑張りました。最高の試合にして見せますので、楽しみにしていてくださいって言ってきた」と私が言うと、

「…これでヘタな試合は出来なくなったな」と主将に笑われたので

そうですね!と私は頷いた。

まさかその出来事が後から凄いことになることをまだ誰も知らなかった。
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