王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
次に気が付いたとき、ロザリーは土の上にいた。急な角度の斜面にいるようで、平衡感覚がおかしく感じられる。
「……いた……」
体を起こそうとすると、肩のあたりに痛みが走る。どうやら打撲したようだが、動かせないわけではない。
「カイラ様?」
少し離れたところに同じように倒れているカイラを見つけ、ロザリーは四つん這いになったまま近づいた。
「カイラ様、大丈夫ですか、しっかりしてください」
「ん……」
痛みに顔を歪めてはいるが、出血したような様子はない。
ロザリーはあたりを見渡した。どうやら襲撃を受けたのは坂道を駆けあがっているところでだったらしい。
道はもっと上に会ったようで、見上げた部分の細い木々が薙ぎ倒されている。
下を見れば、馬車がもっと下まで落ちているが、運よく途中で扉が開いて、ロザリーとカイラは外に投げ出されたようだ。
「落ちるのとどっちが良かったかは分からないけど……」
とにかく命があって、大きな怪我をしていないのは幸運だった。
「ロザリーさん?」
「気づかれましたか? カイラ様。お体は? 痛いところはありませんか?」
「痛くは……きゃっ」
「傾斜がきついので、うっかりすると転げ落ちてしまいますよ」
「ロザリーさんこそ大丈夫なの?」
カイラはゆっくりと上半身を起こしロザリーの腕にもたれかかった。
「陛下は大丈夫かしら」
「腕に自信はありそうでした。信じましょう、カイラ様」
今聞こえるのは、森の獣や鳥の声だけだ。
戦いの喧騒のようなものはない。