王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
新しい王
 情報をもとにザックとケネスはカラザの街に向かった。
しかし門番によると、南から入ってきた馬車は商人のものと乗合馬車しかなかったという。

「カラザには入っていないのか……?」

「かもしれないね。目的が殺害なら、人目のつかないところ……林か山に入るかもしれないね。でも、道がそれれば早々に気づかれるだろうし」

ケネスは地図をたどりながら、馬車の入り込みそうな場所を探す。
馬車はある程度整備された道が無ければ走れない。加えて、あまりに道が外れた時点で中にいる人間も警戒するだろう。

「このあたりが怪しいかな。でももうひとつ前の街で事が起こっている可能性もある」

「別れて探すか」

ザックとケネスはカラザの街周辺の街道からほど近い森林を見て回ることにした。お付きを二つに分け、王都までの間に不審な点が無いか調べさせることにする。

そしてほどなくして、ザックはすでに事を収めた父親を発見する。

「父上……」

「アイザック。どうしてお前がここに」

「生きてることに驚きはないのですか」

「ジョザイアから聞いている。ただ、カイラは本気でお前が死んでいるかもしれないと心配しているんだ。早く顔を見せてやって欲しい」

「そうですか。では母上はどこに?」

淡々と言われ、感激の再会も何もないなと思いながら辺りを見渡す。
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