恋を知らない花~初恋~
ふと、ベッドを占領したことに気づき顔を上げて聞いた。
どう考えても同じベッドでは寝そうにないもん。

「あ、安心してください。決して一緒に寝たわけではないですから。リビングのソファーで寝ましたので大丈夫です。」

「いえ、真中さんさっきから謙遜しすぎですから…はぁ、本当に申し訳ありません、なんという醜態を晒しただけでなくとんだ迷惑をかけてしまいました。」

「あ、え?そんな醜態だなんて…川井さんのような方が俺なんか嫌でしょう。あの、もし良かったらシャワーどうぞ、今掃除してきましたので。」

「えっ?掃除までしていただいて本当にありがとうございます。」

なんて良い人なんだ。
とりあえず髪も臭いし、シャワーを借りよう。
そう思ってつい普通に布団をはがしてベッドの横に立ち上がった。
忘れてた、Tシャツにショーツのみだった…

「あぁ、すいません、すぐ出ますね。」

慌てて手で顔を覆って後ろを向き部屋を出て行った。
やってしまった…もうどんだけ肌をさらせばいいんだ…
とは言え、正直真中さんに見られても全くいやな感じはしなかった。
やはり私はどこか感情が欠落しているのかもしれない。

またノックする音が聞こえてほんの少しだけドアが開く。

「このドアを出るとリビングがありますので廊下に出て右のドアがバスルームです。タオルは出してあります。服は一応出してます。必要なら使って下さい。俺は近くのコンビニに行ってきます。何か食べられそうなものありますか?買ってきます。」
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