恋を知らない花~初恋~
「もんって…お前でも可愛くできるんじゃん。」

可愛くって言われて顔がいっきに熱くなり、拓也の胸に顔をうずめた。
そんな事素面の時に言われたのは初めてでかなり恥ずかしかった。

「照れるなんて更に可愛いぞ。いいもん見せて貰ったよ。ククッ」

半ばからかうように言って、私をぎゅーっと抱きしめた。
力が抜けたかと思うと頭にチュッとキスをされた。
甘い…こんなに甘い拓也は初めてだった。
いつもベッドの中の拓也はやや強引なのに…
調子が狂う…

そんなやりとりをした後、交代で洗面所を使い朝の準備をした。
朝は食べないから何もなく、コーヒーだけ飲んで早めに家を出た。

昨日、拓也の家に寄ったときに車で私の家に来ており、会社の近くまで送ってくれた。

会社近くのカフェのパーキングに停めると

「朝ご飯食べてないからお前も付き合えよ。」

って一緒にカフェに入った。
私はスコーンとコーヒーを、拓也はサンドイッチとコーヒーを頼んだ。

「仕事大丈夫か?怖かったら早退しろよ!夜もひとりでいたくなけりゃ電話したらまた結衣の家に行くよ。」

「拓也って優しかったんだね。びっくり。でも大丈夫!ありがとう。今日は家でゆっくり休んでね。」

さすがに2日続けては気が引けるし、そもそも自分の気分が軽くなっているのを感じていた。
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