月影に燦めく



心地良い そよ風に吹かれながら くすくすと笑われる姫君を


「どうかなさいましたか?」


「いいえ、何も。」


そうは言いながらも 相変わらず笑みをたたえておられる。



「鳥はいいわね、自由にあの大空を羽ばたくの。嫉妬しちゃうわ。」


姫君は空に向かって手を伸ばし、そう呟かれた。

姫君の言葉を知ってか知らずか、小枝に止まっていた鳥はその両の翼を震わせ飛び立った。

姫君の言葉に私は是も非もしない。


「そろそろお戻りになられませんか?
きっと皆が心配しておりますよ。」


いつも一緒の侍従は何処へ行ってしまったのだろうか。

あたりに人の気配はない。


「いいのよ、気にしなくて。誰も私のことなんて心配していないわ。

仕事だから 私の傍にいるだけよ。」


"そんなことありませんよ" なんて言葉が口から飛び出す。

本当のことなど何も知らないのに。


「そうだったらいいのだけれど。」


姫君は身体を起こして私の顔をひたと見つめて


「私、貴方の奥方になりたいわ。」


などとのたまう。


< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop