ボードウォークの恋人たち
ハルのお父さんはそれから自力で医大に進学をし、その後留学してしまった息子とそれを支えてくれた二ノ宮の両親にずっと謝りたかったのだという。

「つまらない見栄やプライドで息子を縛ろうとしていたんです。息子の幸せに気付かずに・・・」

そうして実の親に代わり食事だけでなく情操教育をしてくれたと二ノ宮の両親に頭を下げてくれた。そんなハルのお父さんはテレビで見たことがある自信満々な姿でマスコミ対応をする凄腕弁護士ではなくどこにでもいる普通の父親の姿だったように思う。

父は謝罪を受け入れハル親子の関係が改善したことをとても喜んでいた。もちろん母も。

「娘の水音とご子息の結婚を許していただきありがとうございます。不出来な娘ですが何卒よろしくお願いたします」
うちの両親はハルのお父さんに頭を下げ私も慌てて一緒に頭を下げると、それを見たハルのお父さんも「こちらこそ末永くよろしくお願いします」と丁寧に頭を下げてくれた。もちろんハルも。

それからハルのお父さんはうちの父と仲良く一晩中お酒を飲んでいたそうだ。私とハルは途中で帰ったから後のことはよく知らない。
母の話によると、意気投合した二人は仲良く朝まで語り明かしていたらしい。実際には二人とも酔っぱらってリビングで寝ていたのだろうけど。
大きな医療法人の代表と有名弁護士事務所の代表もプライベートではただの父親だ。二人とも良い飲み友達ができたと喜んでいるらしいからこちらもよかった。

そんなわけで、この結婚式もハルのお父さんとうちの両親は仲良く新郎新婦の親として並んでいた。

ーーー気がかりはもう一人のハルの親、あのお母さんのことだった。

ハルは私と結婚することをお母さんに電話口で伝えるだけにしようとしていた。
連絡すらしないんじゃないかと思っていたからちょっと安心はしたものの本当にそれでいいのかと日々考えてしまった。
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