完璧御曹司の優しい結婚事情
〝部下〟

何も間違ってはいないけれど、プライベートで話している時に、会社での関係を持ち出されたのはちょっとキツかった。気持ちに蓋をしようって決めたのは自分だけれど、こうして横にいさせてもらえば想いが溢れ出そうになってしまう。自分がどんどん欲張りになっていくようで、嫌になる。

「真田さん、褒めすぎですって」

やっとの思いで切り返す。

「そんなことないよ。それに、とても芯の強い子で、上司の僕まで助けてくれるぐらいだって」

「……なんか、恥ずかしくなってきます」

「そう?どれも本当のことなんだけどね」

まただ。またそうやって、会社で見せたことのないようないたずらっ子の笑みをしてみせる。彼のプライベートな表情を見ると、どうしようもなく愛しさが溢れてくる。

「ははは。困らせちゃったかな?さて、そろそろ行こうか」

少しだけ冗談まじりな意地悪をするけれど、本格的に困ってしまうようなことはしない。私は頬に集まった熱を冷ますように、こっそり手であおぎながら、真田さんの後をついて駐車場に向かった。

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