完璧御曹司の優しい結婚事情
「そんな君に対する想いが変わったのが、君が愛猫の死に涙を流していた時だった。〝悲しむだけじゃなくて、楽しい思い出を大切にしないと……〟その言葉は君が想像できないぐらい、僕には衝撃的なものだった。
香穂と僕の間にあったのも、悲しみだけじゃなかった。楽しい思い出も、山のようにあったんだって気付かされた。それがきっかけで、どうしようもなく君のことが気になっていった。
あの祝勝会の時、この感情がどういう気持ちからなのかに気付いた。君に下心満載で近付く男達を見て、感じたことのない黒い気持ちが湧き起こったんだ。僕は彼らに嫉妬したんだ。君のことが好きだから」

おもわず顔を上げると、少し気まずそうな表情の彼と目が合った。

「あの時、強引に間に入って、彼らに怒鳴りつけないように必死に我慢していた。そして、見せ付けるように抱き上げて、君を連れ去った」

あっ……佐藤さん達が言っていた、お姫様抱っこのことだ。再び恥ずかしさが増してきたものの、なぜか視線を逸らすことができず、目の前にいる完璧な上司を見つめていた。

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