完璧御曹司の優しい結婚事情
せめて片付けぐらいはと、樹さんが出勤の準備をしている間に手早く洗っておく。

「さあ、行こうか」

樹さんの車で、一緒に会社へ向かう。約束通り、会社まであと数十メートルの所で、降ろしてくれた。

「本当は一緒に行きたいんだけどね。仕方ないね。じゃあ、また後で」

「はい」



仕事が始まると、呼び方を間違えないように、言葉遣いを崩さないようにと気を付けていた。でも、佐藤さんにはそんな様子がバレていて、ランチのたびに冷やかされる毎日となった。


平日は自分のマンションに帰っていたけれど、樹さんと過ごす幸福感を知って以来、1人で過ごす時間は、なんだか寂しく感じた。夜に送ってくれる樹さんからのメールは、そんな私を慰めてくれる。

木曜日の夜、樹さんから電話がかかってきた。

「葉月、明日は早く帰れそうだから、一緒にご飯を食べよう。そのまま僕のマンションに来てよ」

「はい」

翌日は仕事だけど……一緒に過ごしたいと言う気持ちの方が上回っていた。




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