完璧御曹司の優しい結婚事情
「ところで、念のためにもう一回確認するけど、葉月ちゃんは今、彼氏はいるの?」

鈴木さんの質問に、おもわずぎょっとする。

「い、いません」

「よし!」

ガッツポーズをする鈴木さんに、前島さんも悪ノリする。

「抜け駆けはダメだぞ」

再び始まった2人のやりとりに戸惑って課長に目を向けると、申し訳なさそうにされた。

「ごめんね。打ち上げどころか、この雰囲気じゃ気が休まらないね」

「い、いえ……」

「そろそろいい時間だし、お開きにしようか」

まだ飲み足りないという鈴木さん達は、二軒目に繰り出すようだ。私も声をかけられたものの、そこは丁重にお断りした。

「ごちそうさまでした」

結局、前島さんの分まで全て、課長が支払ってくれたようだ。課長だって……というより、課長こそこの件では一番大変だったのに、こうして奢られてしまうと申し訳なくなる。

小雨の降る中、2人で駅に向かいながらそう話すと、課長は苦笑した。

「僕は上司だからね。そんなこと気にすることないよ。それに、川村さんはちょこちょこ差し入れをしてくれて、ちゃんと労ってくれたからね。ありがとう」


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