冷酷姫に溺れて。

俺は惚れてしまった。


無事に少女を母親のもとへ届けると、霜月さんは俺に話しかけてくれた。

「今日はありがとね」

それだけ言うと帰ってしまった。

雪の中、凛と歩くその姿も。

少女を元気づけようと必死で話す姿も。

全てが可愛い。




「おにーちゃん!!」

「はっ、咲奈かよ」

いけない、いけない。

思い出に浸りすぎてた。

「お母さんが呼んでるよ。ご飯だって!」

「はーい」

あれから、霜月さんに話しかけても無視される。
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