冷酷姫に溺れて。
俺のことを忘れたのか?

それとも、気持ち悪かった?

霜月さんは俺のことが嫌いなのかな。

「千影、学校で何かあったの?」

考え事をしていた俺を心配したのか、母さんがそう言ってきた。

「別に何もないけど」

「そう?何かあったら言うのよ」

「ああ」

心配かけるわけにもいかねぇしな。

「どうせ、物思いにふけてるだけだって。お母さんが心配することはないんじゃない?」

「好きな人いるの?」

なんでその話になるんだよ!!

「いねぇし」

そう言えば嘘になるな。

「彼女が出来たら紹介してね?」

するかよっ!

「お兄ちゃんのことだから、紹介しねぇとか思ってるんでしょ」

なんで分かるんだよ。

「やっぱりそういうお年頃なのかな?」

そういう年頃だわ!

「あ、そうそう。今の生徒会長って高槻(たかつき)って名前でしょ?」

なんで母さんが知ってるんだよ。
< 12 / 132 >

この作品をシェア

pagetop