年上同期の独占愛~ずっと側に
お付き合い
金曜日、エントランスを出ると、後ろから肩をたたかれた。

「久しぶり。今帰り?」

2週間ぶりの林君だ。少し疲れ気味の顔をしているが、いつ見ても笑顔が爽やかだ。この笑顔がいつもそばにいてくれたら、どれだけ安心できるか・・・仕事で疲れたあとに一緒にいたいと思える相手だ。亮もそうだった。クタクタに疲れたあと、亮の笑顔と優しさに触れると、心から安心できた。

大阪から東京に転勤してくる前、林君の真剣な告白に応えたい、と思い始めていた。林君の気持ちが間違いなく私に向かってくれているなら、一緒にいたいと思う。

「林君、今日何か予定あるの?」

「いや、特になにも。萌々ちゃんは?」

「何も。ご飯行かない?」

「え?いいの?初めてじゃない?萌々ちゃんから誘ってくれるの。」

「え?そう?テーマパークとか、映画とか、私から何度も誘ったことあるよ。」

「俺が大阪行く前でしょ。大阪から戻ってからは初めて。」

そうだったか・・・最初は本当にいいのか、悩みながら会っていたからだろうか・・でも、間違いなく誘わればうれしかったし、私も会いたいと思って会っていた。

立花さんのことがあり、タイミングが悪くて会えなくて、やっぱり寂しかった。今日偶然会えたのは純粋にうれしい。

近くのお店に入ると、明日は仕事だし、少し話もしたいからお酒は辞めておこうか、とふたりともソフトドリンクを注文する。

「立花さんのこと、本当にごめん。嫌な思いしたよね。」

「でもあれは林君のせいじゃないと思ってる。最初はびっくりしたし、林君のことで絡まれた、って思ったから、もう林君とは関わらないほうがいいかも、って思ったけど・・・
よく考えてみたら、林君はちゃんと真剣に立花さんにも私にも向き合ってくれたし、林君の言った言葉に嘘はなかったんだと思ったから、気にしないことにする。」

林君は私の話を聞き、驚いたように目を見開いて私を見つめている。

「立花さんとは・・・話したの?」

「うん。俺は立花さんともう一度付き合う気はないし、萌々ちゃんを傷つけるのは筋違いだってことは話したんだ。
だけど、ずっと俯いたまま泣いてばっかりで・・・
本当はちゃんともう萌々ちゃんと関わらないって約束させたかったんだけど、頑として何も話さないんだ。
立花さんは小野にすごい懐いてて。何かあったら小野に相談すると思うんだ。だから小野にも今の状況はちゃんと話しておいた。」
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