年上同期の独占愛~ずっと側に
「うん、少し。立花さんは俺が萌々ちゃんのこと昔好きだったって知ってたし、もしかしたら今も好きなんじゃないかって疑ってたから、萌々ちゃんの元カレのこと、わざと色々言ってきたりしたけど。それが本当かどうかわからないしね。聞き流してた。」

「もしかしたら、嫌な思いさせちゃったよね。噂通り、というか、女性関係にだらしない人みたいで。私も3年近く気付かなかったんだけどさ。だから元カレのそんな馬鹿なところに気づかないでずっと付き合ってた私も相当バカだったと思うし、そう言われても仕方がないね。」

「俺はそんな風には思わないし、思うのは、長い時間萌々ちゃんと過ごしてた相手だっていう嫉妬だけだよ。
結婚まで考えた人なんでしょ?まだ未練残ってたりする?」

「全然だよ。全く恋愛感情はないし、前に好きだったって思ってたことすらもう思い出せないよ。」

「よかった。大事にするから。」

ふふっ、と顔を見合わせて2人で笑う。それからしばらく、今度のデートで行きたいところとや今まで2人で出かけて楽しかった思い出を話しながら食事を終えた。

「萌々ちゃん、明日仕事何時ころまで?」

「夕方には終わるはずだよ。もしかしたら3時とかには終わっちゃうかも」

「俺も明日出勤だから、明日また会おうよ。本当に3時ころ終わるなら映画行かない?」

「林君は時間大丈夫なの?」

「うん。合わせられる。終わったら連絡して。」

駅に着き、林君とは路線が違うため、改札口を入ったところで、じゃあ、また明日。と手を振ると、その手を引っ張られてふわりと抱きしめられる。駅ナカで、いつ会社の人が通るかもわからなし、気恥ずかしさで離れようとするが、ぎゅうっと力を込められる。

もう亮と別れて一年近くたつ。別れる少し前からこんな風に抱きしめられたことなんかなかった。男の人とこんな近くに触れあうのは、大阪で林君に強引にされた時以来だ。林君に抱きしめられて、あの時の強引な感じとは全く違い、私を大事にしていることが全身から伝わってくる。

「本当は今日帰したくないけど・・・明日仕事だもんね。」

はあー、とため息をつきながらつぶやく林君だが、林君だって仕事のはずだ。

「明日の映画、楽しみにしてるね。」

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