年上同期の独占愛~ずっと側に
「いえ!橋本さんも車だし飲めないですもんね。」

「気にしないで飲んでくれていいのに。」

「そこまで好きなわけじゃないから。」

「そっか。この前は結構おいしそうに飲んでたけどね。」

「あのお店のマスターたちは、ホントに薄く作ってくれるからね。」

「また飲みに行こうよ。」

うん、そうですね、と曖昧に頷く私を見て、少し苦笑いしながら困ったように言った。

「俺といると疲れる?」

「そんなことないです。そう見えますか?」

「はあー。また敬語。結局今日ずっとそんな喋り方だろ。
原さんと喋ってるときでさえ、たまにタメ語まざってるだろ?会議後だって結構雑談してるし、よく笑うし。結構遠慮のないこと言ってんじゃん。」

なんだ?急に俺様な感じで威圧的なんだけど・・
第一、原さんとはいる時間が長い。仕事中はほとんど一緒だし、お昼も一緒に取ることが多い。1年以上毎日一緒にいれば、雑談だってするし多少親しくなる。たまにタメ語が混ざってしまうのは反省すべきことだろう。

「すみません。原さんも不快に感じてるかもしれないでよね、気を付けます。」

「いや、そこじゃなくて・・・
俺にも普通にしてってこと。同期だろ?」

「うん。できるだけそうする。原さんとは一緒にいる時間が長いから、つい。」

「だけど、以前からの知り合いではなくて今のプロジェクトが初めてだろ?」

「まあ、そうだけど」

「俺はその前からじゃん、同期なんだから。」

「だけど・・・話したことはなかったよね?」

「話したことはなかったけど、尾崎とか亜都子さんからは野崎さんのことは聞いてたよ。」

確かに私も話には聞いていたし、かなりのエリートだから橋本さんは同期の中でも有名人だ。まさか同じプロジェクトで仕事ができるなんて思ってもみなかった。

「一緒にお話しできるようになって光栄です。」

「うん、俺も。だからもっと普通にして。もっと仲良して?」

「橋本さんと仲良くするって結構ハードル高いよね」

「そう?この前飲みにも行ったし、今日も二人で出かけたじゃん。会社でももっと話して」

会社で話すと言っても何を話せばいいのだろう。仕事中はお互い忙しくて顔を合わせる時間もないのだが。
そろそろ出ようか、と橋本さんが席を立って、そのままお店を出てしまう。

「あの、お会計は?」

「大丈夫」

< 177 / 228 >

この作品をシェア

pagetop