年上同期の独占愛~ずっと側に
「迷惑じゃなければ、最後のほうちょっとだけ。緒方さんに挨拶したら帰るから、その時一緒に帰ろうぜ」

そう言って、手をひらひらさせながら行ってしまった。

とりあえず、今日のお店が決まったら場所を連絡しておけばいいだろう。担当内とはいえ、緒方さんの送別会なわけだし、そこそこ遅くなってしまいそうな気がするが、それからまた二人で飲みに行くのだろうか。あまり遅くなるのも嫌なので、そこはやんわり断っておこう。

それにしても、橋本さんに『かわいい』と言われたのは初めてだ。私が緒方さんとのお別れが寂しくて泣いていたのが意外だったのだろうか。涙ひとつ流さないもっとかわいげがない女だと思っていたのだろう。

夕方、統括のメンバだけの側の居酒屋に集合して、こじんまりと緒方さん送別会を開催した。
本当にお世話になって、何度お礼を言っても足りないし、来週からは職場に緒方さんの姿がないのだと思うと、寂しくて仕方がない。

緒方さんは一人ひとりと向き合い、順番に話をしながら飲んでいて、私のところに来た時は1時間ほどたった時だった。

「本当にお世話になりました。緒方さんから教えていただいたこと、忘れません。ありがとうございました」

「うん。俺も野崎さんと仕事できてとても楽しかったよ。
それに、元気になってよかった。ずっと頑張ってくれてるのはわかってたけど、つらかったりしんどかったりするときは誰だってあるんだ。
人それぞれ考え方はあるけど、たまたま俺らはそういう時は頼ってほしいって思うから、もっと力抜いて、頼ってくれていいのに、って皆思ってたんだぜ。
よく頑張ったな。」

亮と別れて落ち込んでいた時のことを言っているのだろう。
プライベートを仕事に持ち込んでしまい、ただでさえ猛省中なのに、こんな言葉をかけてもらえるなんて、感無量だ。

そんなことを考えながら緒方さんと話していると、橋本さんがちょうど入ってくるのが見えた。
緒方さんもすぐに気づき、おっ、お疲れ、と声をかけて手招きをする。
私はそのタイミングでお手洗いに行くことにして、戻ると、ちょうど緒方さんと橋本さんの話も終わったところだった。

そろそろお開きになり、私と橋本さん以外は二次会に行くとのことだったので、お店で別れることにした。
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