年上同期の独占愛~ずっと側に
「私は今まで蝦川さんとの付き合いのなかで、不安なことは及川さんのことだけでした。忘れられないんじゃないかって。だけど、まさかそんな浮気症だとは思っていなくて・・」

「うん。優しいもんね。一緒にいて楽しいでしょ?」

蝦川さんと一緒に過ごした日々が急に思い出され、涙が溢れた。

「実は、結婚する予定だったから、今の私の実家、この家を立て替えて二世帯住宅にするんです。来週仮住まいに引越しで、再来週、この家取り壊しなんです。結婚式場だって、ほとんど決めていて・・・、どうしよう。どうしてこんなことに・・・」

「そっか。そうだったんだ。
でもね、何とかなると思うよ。萌々香さん、しっかりしてそうだし、ご両親だって支えてくれるよ」

「でも・・・。」

「これから、本人と話すんでしょ?正直ね、キツいと思うよ。今までの違和感が具体的な嘘だったって気付くだろうし、アイツのこと信用できなくなると思う。家のこともあるから不安もあると思う。辛いだろうけど、しっかりね。」

やはり経験者だからだろうか。及川さんも相当傷ついたのが想像できる。

「及川さんはもう大丈夫ですか?」

「私?もうだいぶ経つしね。蝦っちよりいい男探すから。ふふっ。」

笑って明るく言うところをみると、すでに素敵な彼がいるのかもしれない。しかし、当時、どれだけ大変だったのか知りたくなる。そう聞くと

「そりゃあね。私の気持ちも絶対別れる、やっぱり別れたくない、の繰り返しで不安定になるし、家中のお皿割って取り乱したり、色々やったよ。しかも離婚するって最終的に私が言った後も、せめて俺の苗字を名乗ってくれ、とかわけわかんないこと言ってたよ。つくづくあいつバカだわ。」

「それにしても同じアパートに人と・・・。今もちょくちょく蝦川さんの部屋行きますけど、まったく女の人の形跡はないですよ。」

「そりゃそうだよ。アイツ、そういうのうまいもん。彼女を自分の部屋に来させない理由なんて考えるの得意でしょうよ。」

「証拠がないのに、どうやって話したらいいのか・・・」

「私から聞いたって言っていいから。」

だけど、私は蝦っちから連絡きてもしらばっくれるけどね~、と笑って言った。

良い人だ。
気付くと2時間以上話をしてしまった。平日の夜に大変申し訳ありません、と謝り電話を切る。
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