"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
手渡された大きな小さな紙袋の中には土をきれいに取り去られた人参が三本。
大きな紙袋の中にはあの小さな種の袋のお礼には豪華すぎる有名な洋菓子ブランドのクッキー缶だった。
受け取らないのも失礼だが、受け取るにはあまりにも品物に差がありすぎる。
俺は野口さん一枚使ってもお返しが来るのに平松は諭吉さん一枚を使ってお返しが来るか来ないかなのだ。
「受け取りにくいわよね。それじゃあ、脅すようで悪いのだけれど、おばさんの話に付き合って貰える?それでそのお菓子を受け取りにくいと思う気持ちを精算してもらうっていうのはどう?」
「ありがとうございます。頂きます。どこで話しますか?」
「前に公園に行ったのを覚えてる?あそこはどうかしら?」
「わかりました」
貰った袋を置いて向かおうとすれば、平松に髪をしっかり乾かしてから来るようにと言われた。
「ゆっくりでいいから、きちんと乾かして。そうでないと風邪をひいてしまうもの」
そう言って平松は先にあの公園へ向かった。