"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる


俺と酒井の今日のチームはどちらも負け、コートの端で千葉崎のチームの試合を観戦する。

部活ではないので鬼ごっこだったり、ハンカチ落としだったりもするが今日は緩いながらもバスケサークルらしくバスケをしている。

今日の優勝チームには持ち寄ってきたお菓子の中から好きなお菓子を持ち帰る権利という本当にささやかな褒美があるが、そんなことで真剣に試合に臨む者はいない。

男女混合ということもあり、女子を怪我させないように、みんなが楽しめるようにということが主軸のため一人一人の動きは本当に緩い。

千葉崎なんかポケットに手を突っ込みながらボールを追いかけたりしている。

しかし、そんなにふざけていても不思議なことに決勝まで来ている。


「千葉崎がいるチームっていっつも決勝まで行ってないか?」

「あいつに興味無いから知らない」

「もうちょっと興味持ってやれよ」

いつも通り、千葉崎に対しては塩対応な酒井に笑いつつ、そろそろ千葉崎がかわいそうにも思える今日この頃。


「……まぁ、でも。あいつよく周り見てるよね。あんまり触れてない後輩の子とかにボール回したり、敵チームがゴールしようとしたら絶対ゴール下にいるし」

「めっちゃ興味あるじゃん」

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