"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
………それって、まさか。
いつかはそういう日が来たっておかしくない。
初めから、そういう約束でもあった。
酒井に他に好きな人ができたら終わりだ。
「千葉崎のことが気になる?」
酒井が暫し横目で俺を観察するように見て、ニヤリと笑った。
「何〜?嫉妬?」
「そんなんじゃないけど」
「ふーん、あっそ」
努めて冷静に返す俺。
つまらなさそうにする酒井。
なんだか最近、酒井は俺の前で挙動不審になったり、慌てて言い返したりすることがなくなってきた。
寧ろさっきみたいに余裕そうに返してくる。
そして、いつの間にか俺の方が余裕がなくなっている気がする。
「気になるは気になるよ」
さっきと言ってることが違うじゃねーか。
興味がないなら気になったりはしない。
それを矛盾と言わずに何という。
「でもそういうのじゃないから。そういう意味で気になってるのは悠介だけだよ」
頬を赤くしているくせに悪戯っぽく笑うので、俺の方が照れてしまう。
周りから見ればバカップルそのものの絵面なんだろうなと思うと余計に恥ずかしい。
やはり、酒井に余裕が出てきたのは間違いない。