"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる


結局、千葉崎のチームが優勝した。

市販のお菓子で一番高そうなチョコサンドを持って見せびらかしてくるけど、この後どうせ俺にも酒井にも配ってくるのだ。

「俺が試合中、イチャイチャしてただろ〜」

ニヤニヤしている千葉崎に俺と酒井は同時に「してない」と首を振る。

「いいや。俺はこの目で見た。頬を赤らめて互いに見つめあっちゃってさ〜。初々しいですなぁ〜」

「お前に比べりゃましだ!いっつも人目も気にせず、周りの存在すら無視して二人の世界に入ってるお前にだけは言われたくない!だよな?」

同意を求めて隣を振り返ると、酒井はワンテンポ遅れて頷く。

今日の酒井はどこか上の空だったり、何かを言おうとしてやめたりといつもの調子ではなく、俺と千葉崎は顔を見合わせるのだった。


午前中で解散し、俺は締め切りが近い課題を終わらすべく図書館に向かった。

一ヶ月以上会っていなかった千葉崎よりは彼氏として会ってはいたが、それでも久々に会ったのでなるべく一緒に居れるようにすべきだと思うのだがこればかりは課題が優先だ。

こんなことで単位を落とすわけにはいかない。

酒井も納得してくれた。


図書館の個人学習スペースや長テーブルは人で埋まっており、空いているのは会話OKのカフェスペースくらいだった。

試験勉強ではないので必要な本を何冊か借りてカフェスペースに移動する。

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