"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる


莉乃の浮気はもう数えるのも嫌になるくらいだが、どれも長続きもしない。

普段は全く他の男の気配を感じられないことがほとんどで、ふとした時に浮気しているなと気づく感じだ。

不定期だし、毎度隠す素振りもなく、むしろ堂々と見せつけてくる始末なので浮気相手のほとんどを把握しているけれど、相手の男はいつも違うしタイプもバラバラ。

そこに繋がりがあるようには思えない。

栄太と莉乃が付き合い始めたのは高校二年の秋。
今から五年前のことだった。

人より整った容姿、体格は否が応でも目立ってしまい常に人に囲まれていた栄太と、洒落っ気はないが清潔感があり真面目そうなグループの中の一人という感じの莉乃は全く接点がなかった。

けれど、ある時、栄太はストンと恋に落ちてしまい、猛アプローチをしたおかげで付き合うことができ、今日に至る。

付き合い始めてから今までもずっと栄太の方は彼女に愛を囁き続けてきたが、彼女から返されたことはほんの数回しかない。

栄太は莉乃を思っていても、彼女がそうであるかは栄太自身にもわからない。

五年も一緒にいるのに彼女のことがわからない。


他に好きな人ができたと言うなら別れを告げればいいのにそうではないし、栄太一人を愛そうという気も感じられない。

いつからこうなってしまったのか。
きっかけはなんだったのか。

少なくとも高校生の時は違う。

莉乃の浮気癖が始まったのは大学生になってからの話だ。


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