美術室のユーレイ



校舎の中から空を見上げる。



「あーあ、さっきまでは晴れてたのに」



私は頬を膨らませる。



「仕方ないよ。降ってきちゃったんだから。さ、部室に戻ろ」



叶多くんが歩き出したので私もあとに続く。




雨は別に嫌いじゃない。



でも、叶多くんとの時間を邪魔された今回の雨だけは許さない。




私は叶多くんに気づかれないように、空に向かって、べーと舌を出した。



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